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「ロゴの色が沈む」悩みを解決 RGB・CMYK・特色の違いを理解して 理想の発色を実現するデザインの基礎知識

May 9, 2026

印刷業界で耳にすることの多い「CMYK」や「特色」。WEB業界では「RGB」という言葉もよく聞きます。全て色の表現方法として使われますが、特徴や利用シーンが異なります。本記事では、それぞれの特性や違いについて説明していきます。


RGBとCMYKの違いと特色の利用シーン

まずは、特色を理解するうえで知っておく必要があるRGBとCMYKについて解説します。


RGBとは

RGBは、「Red:レッド」「Green:グリーン」「Blue:ブルー」の頭文字を取った名称です。光の三原色と呼ばれており、スマホやテレビ、パソコンの画面などはこのRGBの重なりにより色が表現されています。
RGBでは色ごとに0から255の256段階で調節できるため、理論上256×256×256=16,777,216通りの色を表現できます。一方で、パソコンの種類やディスプレイの設定、部屋の明るさなど、見る環境によって色の見え方が変わってしまうため注意が必要です。

また、光による色の表現であるRGBには、RGB印刷というデジタルカメラで撮影された画像やデジタルイラストなどのRGBデータの発色を再現する印刷技術があります。実際のところ後述のCMYKで再現できる色域はRGBよりも狭く、数値的にはRGBの65%しか再現することができません。
そのため、パソコンなどの画面と一致した明るく鮮やかな色を求める場合には、画面上の鮮やかな色味に限りなく近い発色が可能なRGB印刷が向いています。しかしながら、デザイン業界においては、あくまでRGBのモニターで作成したデザインは、印刷段階でCMYKへと変換されるのが一般的です。


RGBの利用シーン
・Web上でのデザイン
・パソコンやタブレット、テレビなどのディスプレイ表現
・発色が重要な印刷(RGB印刷)



CMYKとは

CMYKは、「Cyan:シアン」「Magenta:マゼンタ」「Yellow:イエロー」「Key plate:キープレート(黒)」の頭文字を取った名称です。ディスプレイ上で使われるRGBとは異なり、印刷物に使われる色の表現方法でプロセスカラーとも呼ばれます。デザインを印刷所へ入稿する際は、CMYKで用意するように指定されるケースが一般的です。

CMYK印刷は、この4色のインキの網点の掛け合わせの濃淡で表現されますが、デザイン制作において避けては通れない注意点があります。それは、インキには混ぜれば混ぜるほど彩度が下がるという特徴があることです。そのため、特にピンクやオレンジ、ブルーの色相で彩度が高い色は印刷時に彩度が落ちる傾向があり、CMYKの苦手な表現とされています。
以上のことから、デザイン制作においてRGBで作成したデータを印刷にかけた場合、大きく彩度が落ちてしまう場合があるため、色校正を取り本番印刷前に色の確認をとることもあります。


CMYKの利用シーン
・印刷物全般
・家庭用インクジェットプリンター



特色とは

特色とは、CMYKでは再現できない色を表現する際に使われる、特別に調合されたインキのことです。前述したCMYKが苦手とするビビットな色表現も、特色では彩度の高さを維持したまま印刷できます。また、CMYKでは金色や銀色などのメタリックカラー、蛍光色、パステルカラー、ビビッドカラーなどの色も再現できない、または苦手としています。
特色はその色のために特別に調合された単色インキだからこそ、絶妙なニュアンスも表現することができます。CMYKのように複数の色を重ねる必要がないため、色の濁りが発生せず、鮮やかさを最大限に引き出せるのが特徴です。

特色には、DIC(ディック)社とPANTONE(パントン)社が展開する色見本帳があり、DICは「日本の伝統色」「フランスの伝統色」「中国の伝統色」といった国別の伝統色シリーズ展開し、PANTONEは「メタリック・シリーズ」「ソリッドカラー・セット」といった色の特性ごとにシリーズ展開されています。色見本帳は主にデザイナーが色を決定する際によく使われます。
色は企業イメージやブランディングに関わる重要な要素であるため、的確なニュアンスを表現する必要があります。そのため、企業のレギュレーションではコーポレートカラーやロゴの配色がCMYK(やRGB)で再現し難いときには、特色指定されるケースがあります。

蛍光色とメタリックカラーの特色で世界観を表現したアパレルブランドのオープンDM


コスト抑制の先にある表現 「2色印刷」がもたらすストイックな美学

また、「印刷費を抑えたいけどモノクロ表現では物足りない」という場合には、2色印刷という手法がよく使われます。大量に配布されるチラシの裏面などに使われているケースがイメージしやすいと思います。2色印刷は特色×黒の組み合わせが最も多く見られますが、CMYKのインキから1色を選択するケースもあります。
また2色印刷は、コスト削減のためだけでなく、あえて色数を絞ることで「ストイックで洗練されたブランドイメージ」を構築する手法としても有効です。

黒と朱の2色印刷の手提袋 マチの色を変えつつおうどんブランドの世界観を維持

2色印刷はコスト面だけでなく あえて色数を絞ることで「洗練されたブランドイメージ」の構築にも有効


CMYK印刷に特色インキを追加で用いる場合、当然CMYK印刷よりもコストが高くなります。特色は一般的には通常インキの2倍ほどの費用がかかり、蛍光色やメタリックカラーになると、インキ自体の単価が高く、さらに色替えのための機械洗浄費用などが加算されるため、5倍ほどの費用がかかることもあります。しかし、そのコストは「ブランドの信頼を勝ち取るための投資」でもあります。

ロゴの色が印刷のたびに微妙に変わってしまうイメージ損失を防ぎ、いかなる媒体でも「ブランドの色」を正しく伝える。そのために私たちは、あえて特色という選択肢をご提案することがあります。


特色の利用シーン
・CMYKで表現できない色やメタリックカラー、蛍光色などを表現する印刷物
・レギュレーションに沿った印刷にするためのコーポレートカラーやロゴの色指定
・コストを削減したい場合の特色と黒の2色印刷


DICとPANTONEのカラーガイド

前項で出てきたDICとPANTONEは、ともに特色のカラーガイドを出版している代表的な企業です。DICは日本の企業であり、主に国内の印刷・デザイン現場でスタンダードとして普及しています。一方で、アメリカの企業であるPANTONEは、世界共通のカラー言語として、グローバルなスタンダードとなっています。どちらにおいても、膨大なカラーが色番号で指定されています。

入稿の際のデザインカンプ(印刷所へ渡す完成見本の出力紙)の色指定用にカラーガイドから切り離したカラーチップを貼り付けて渡すこともあるため、カラーガイドは印刷物を制作するデザインプロダクションには必須の備品です。カラーチップを用意できない場合は、CMYKやRGB、DICやPANTONEの数値を併記して提出します。

また、カラーチップは紙にインキが刷られた見本紙であり、経年劣化により色味が変化するため、定期的な買い替えや品質管理が求められます。私たちドットゼロでも、常に最新のガイドを揃え、お客様のブランドカラーを正しい環境で管理しています。


CMYKと特色印刷における網点について

印刷物は、細かい点の集合体で絵や色を表現しています。この点のことを「網点(あみてん)」といいます。イメージしやすい例として新聞があります。新聞の写真やイラストを近くで見たりルーペで見てみると、上の画像のように点の集合で表現されています。

新聞を例に挙げましたが、当然モノトーンに限った話ではなく、カラー印刷も同様の原理です。CMYKであろうと特色であろうと、網点の掛け合わせで表現されています。印刷では、この網点の大きさや網点間の間隔を変化させることで濃淡を表現し、さまざまな色彩を表現しています。

なお特色に関しては、網点による表現(グラデーションなど)だけでなく、インキそのものの色を活かした「ベタ塗り」ができるため、CMYKの掛け合わせでは出せない均一で美しい面を作ることができます。CMYK印刷では、一見平坦に見える色面も実は4色の小さな点の集まりで表現されていますが、特色のベタ塗りは「混じり気のない一枚の色の膜」を定着させます。これが、ロゴや背景の塗りつぶしにおいて、特色が圧倒的に美しく見える理由です。

カラー印刷の正体は「網点」の集合体 この点の密度で色を再現します



ブランディングにおいての特色

ロゴやコーポレートカラー、ブランドカラーなどを再現する際に、いかなる環境でも同じ色を表現する目的のため、特色が使われる場合があります。
以下の事例のように、特色とCMYKで印刷した2つの印刷物を見比べるだけでもオレンジの発色に違いがあります。左の画像(特色)の発色に対し、右の画像(CMYK)の色が少しくすんでいるのが確認できます。


また、画像の上に載せたイベントタイトルやキャッチコピーをより目立たせたい場合には、CMYKやモノクロの画像の上に特色1色で文字を入れるという手法もあります。




アイデンティティを厳格に守り抜くためのロゴガイドライン

ロゴを納品する際には、ロゴガイドラインにより特色の色番号などのレギュレーションを指定することが一般的です。下の画像はドットゼロのロゴガイドラインです。
ロゴの指定色は、RGBとCMYK、PANTONEまたはDICのそれぞれにおいて数値で指定されます。私たちドットゼロも、自社のアイデンティティを守るため厳格にガイドラインにて管理しています。

あらゆる媒体で「正しい使い方」を再現するための設計図。ドットゼロでは、ブランドの象徴であるロゴが変質しないよう、厳格なルールを定めています。



まとめ

今回ご紹介したRGBとCMYK、特色は全て色の表現方法ですが、用途や利用シーンが異なります。ディスプレイ上での表示や印刷、コーポレートカラーやロゴの色指定などさまざまです。
印刷手法や特色について知ることでも、自社のブランディングを表現する際に色を判断する視点が広がります。用語の意味だけにとどまらず、利用シーンなどもあわせて覚えておきましょう。



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WRITTEN BY Masaki Takai

ドットゼロ 代表。BEAMSを経て同社を設立。資生堂や星野リゾート、ゴディバ等、数多くのグローバルブランドのブランディングやデザインを請け負うトータルデザインカンパニーを率いる。時代に流されない「人の琴線に触れるクリエイティブ」を追求。本質を突く思考と視座で、企業の良き未来を半歩先からエスコートする。 高井雅己の思考と視座