DESIGN LOGIC

そのQRコード浮いていませんか? クリエイティブの一部として機能させるデザインのコツ

May 9, 2026

スマホの普及に伴い、街中のいたるところで見かけるようになったQRコード。企業、または扱っている商品やサービスの告知手段のひとつとして一般的になっています。

QRコードは、無料で気軽に作成できるため、デザイン制作物にも取り入れられるケースが増えてきました。一方で、デザインの中にバーコードという異質な要素が入ってしまうため、世界観をできるだけ損なわないように調整する必要があります。なかには、QRコードに少しデザイン性を加えたものからデザインに特化したおしゃれなものまで手法はさまざまです。今回は、QRコードとデザインの関係について事例紹介も交えて説明していきます。

QRコード(2次元バーコード)とは

QRコード(2次元バーコード)とは「Quick Response」の略で、以前より使われているバーコード(1次元)の情報を縦横の2次元へと拡張したコードです。
白黒ラインの並びと数字によって表現していたバーコードに対し、QRコードは縦横に配置された白黒のドットパターンが特徴です。この2次元的な構造によって、バーコードに比べ圧倒的なデータ量を格納できるようになり、現在では全世界で幅広く使用されています。

QRコードは、WebサイトのURLなどの大きな情報をコードに変換でき、スマホやタブレットなどで簡単に読み取れることが特徴です。以前は読み取り専用アプリが必要でしたが、最近はスマホのカメラアプリで読み取ることができるQRコードがほとんどです。
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です


QRコードが持つ特徴

ここからは、QRコードが持つ特徴について見ていきます。

多くの情報を伝達可能
ポスターやチラシに掲載できる情報量は限られているため、多くの情報を盛り込もうとするとユーザーが読みにくくなってしまいます。そこで、QRコードを付けてWebサイトに誘導することで、商品やサービスの詳細情報を提供することができます。
QRコードを読み取るだけでアドレス帳への登録や住所表示などもすることができ、汎用性の高さも利用が進んでいる理由のひとつです。

効果測定が容易
QRコードの使用によって、さまざまな効果が測定できます。ポスターやチラシなどの紙媒体は広告効果が見えづらい傾向がありますが、QRコードを載せることでアクセス数からある程度の広告効果が分析できます。また、QRコードを読み込んだユーザーの行動パターンなども記録できることも、QRコードの持つ特徴のひとつです。

スマホ表示との親和性
Webサイト等でスマホの画面内に表示してしまうと、その端末のカメラでは直接読み込むことができないという制約があります。しかし、一般的には紙媒体などのアナログのものからスマホなどのデジタル媒体に読み込ませるもののため、問題ないことが多いです。


事例紹介

ここからは、ドットゼロで作成したQRコードをデザインとして組み込んだ事例をパターン別にご紹介します。

目的地を直感的にエスコートする 「迷わせない」ための機能デザイン
QRコードの中央にSNSアイコンを配置することで、読み取る前に「どこへ繋がるのか」を視覚的にに伝えます。また、無機質なコードをロゴやアイコンと融合させることで、クリエイティブ全体の世界観を崩すことなく、ユーザーをスムーズなアクションへと導くことができます。

配るだけで終わらせない 配布物を「生きた動線」に変える
イタリアのアウトドアブランド「MONTURA」のステッカー。
販促物として配られるステッカーにQRコードを組み込むことで、配布数に対するアクセス率を計測し、広告効果を可視化。デザインの一部として溶け込ませれば、ブランドの世界観を損なうことなく、強力な再来訪のフックとして機能します。

店舗体験をオンラインへ繋ぐ 「記憶の鮮度」を逃さない動線設計
アパレルブランド「Bonjour biqui Bonjour」のショップカード。
裏面にQRコードを配置し、店舗での高揚感が冷めないうちにブランドサイトやオンラインショップへ誘導。お買い上げ直後の「ブランドへの熱量」を逃さずデジタルへ繋ぐことで、実店舗とECの垣根をなくし、次回の購買行動をスムーズにエスコートします。

購買意欲を「その場」で成約へ変える 機会損失を防ぐ動線設計
エナジードリンクブランド「KiiVA」のパンフレット。
商品の魅力を理解し「購買意欲が最も高まった瞬間」にAmazonの購入ページへ誘導。検索の手間を省き、ワンクリックで購入を完結させる動線をデザインすることで、物理的な距離や時間のラグによる機会損失を防ぎ、確実な成約へと繋げます。

機能そのものを「表現」に溶け込ませる 世界観を損なわない究極の同化デザイン
西武渋谷店のイベント告知フライヤー。
色とりどりのチョコレートを迷路のように配置し、QRコードそのものを紙面のメインビジュアルとして設計。一見するとチョコレートのアートワークですが、スマホをかざすと特設サイトへと繋がる…。その「驚き」がユーザーの好奇心を刺激し、能動的なアクションを誘発します。情報の入口自体を催事の世界観をあらわす「表現」へと昇華させました。


ちょっと変わったQRコード

ここからはドットゼロの実績ではありませんが、一見、QRコードには見えない変わったQRコードをご紹介します。
最新の画像生成AIを用いることで、「情報を読み取るためのコード」という概念そのものを覆すような表現が可能になっています。機能と芸術の境界線がさらに曖昧になっていく、その驚きの表現手法をご覧ください。


1枚目は、葛飾北斎の浮世絵を彷彿とさせる、力強い波と静かな松の木。その伝統的な筆致の中に、緻密なコードが完全に溶け込んでいます。
2枚目は、研究室の静謐な陰影や、機材の質感までリアルに再現された一枚。見たことのある風景が、そのまま情報の入り口へと変わります。

どちらも画像生成AIによって生み出されたものです。かつては膨大な時間を要した高度な視覚的融合も、現在ではイラストや画像の中にQRコードを組み込む専用サイトの登場により、一瞬で生成することが可能になりました。
AIの技術を使いこなすだけでなく、そこに「美しさ」と「使い心地」という血を通わせることで、お客様をまだ見ぬ体験へと導く。そんな新しいデザインの扉が、今まさに開こうとしています。

【引用元・参考】
引用元:知財図鑑
画像生成AIでQRコードを組み込めるサイト:qrbtf.com


読み込み精度に関する注意点
iPhoneの標準カメラアプリでの仕様ですが、読み取れるQRコードと読み取れないQRコードがあります。実際に、上で紹介したAI生成のQRコードの事例(2枚目)は、iPhoneの標準カメラアプリでは読み取ることができません。専用のQRコードリーダーを使えば、問題なく読み取ることが可能です。 ※2024年3月時点
また、デザイン性を高める場合は、コードの一部が隠れても修復できる「誤り訂正レベル」を高めに設定するなどの調整が必要になる場合があります。

まとめ

QRコードについての簡単な仕様の紹介と、デザイン事例について紹介してきました。QRコードには、デザインを組み込んだおしゃれなものや面白いものまで幅広いパターンがあります。そして、ノベルティなどの制作物にQRコードを入れるケースとQRコード自体をデザインするケースでは、扱いがまったく異なります。
制作する目的や用途、QRコードを配置する場所などを十分に検討し、デザインを制作していくことをおすすめします。


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WRITTEN BY Masaki Takai

ドットゼロ 代表。BEAMSを経て同社を設立。資生堂や星野リゾート、ゴディバ等、数多くのグローバルブランドのブランディングやデザインを請け負うトータルデザインカンパニーを率いる。時代に流されない「人の琴線に触れるクリエイティブ」を追求。本質を突く思考と視座で、企業の良き未来を半歩先からエスコートする。 高井雅己の思考と視座