BRANDING
ブランドは「変えない」ために「変わり続ける」 ブランディングの本質と守るデザインの真髄
Apr 25, 2026
ブランディングは事業を継続させるために必要不可欠な要素です。そして、一度構築すれば終わりというものではなく、時代や潮流に合わせて変化させていく必要があります。その変化こそが、ブランドを守っていくことに繋がるともいえます。
ブランディングとデザインの関係性からどのようにしてブランドを守っていくのか、大きく「ブランディングの基本的な考え方」と「CI・VI」に分け、事例も交えて紹介していきます。
ブランディングの基本的な考え方
ブランディングとは
ブランディングとは、読んで字のごとく企業やサービス、商品が持つ「ブランド」を形作るためのさまざまな活動のことを指します。企業イメージや商品に「付加価値」を与え、消費者やユーザーの中での認識価値を上げていくことがブランディングの目的です。
せっかく良い商品やサービスを持っていても、魅力的に見えなければ手に取ってもらうことはできません。「付加価値」を創造し、同じマーケットで競合しているライバル企業との差を打ち出し、選ばれる必要があります。ユーザーの目も肥えている昨今では、時流を読み、時にユーザーの立場になって、なぜその商品やサービスを手に取るのかという心理を追求しなければなりません。
「外からどう見られているのか」を理解した上でブランドを確立していくこと、それがブランディングです。
ブランドを守る
構築されてから何十年も経過したブランドほど、ブランディング自体も経年によって時代に合わなくなる傾向があります。
ブランドに対して古いイメージを持たれてしまう要因のひとつにデザインがあります。有名ブランドのロゴの変遷だけをとってみても、ひと昔前のデザインを見ると直感的に「古い」と感じてしまうことでしょう。企業に紐づくあらゆるデザインは常に時代に見合う表現なのかどうかを気にかけておく必要があります。
ブランディングの一環として、時流の変化に合わせてブランドを再構築するリブランディングがあります。時流の変化だけではなく、顧客やユーザーの嗜好の変化に合わせることもリブランディングのひとつです。リブランディングによって長期的にブランドを守ることで、新たなターゲット層の獲得にも繋がります。
「やってはいけない」を決める重要性
ブランドを守るための第一歩は「やってはいけない」を決めることです。ターゲット層やマーケット、競合他社を分析してブランドのポジショニングを明確化し、そのブランドにふさわしくないものを禁止し取り除いていきます。
「やってはいけない」には、下記の例が挙げられます。
・ブランドにふさわしくない層をターゲットとする
・ブランドにふさわしくないモノをつくる
・ブランドにふさわしくないモノに改編する
・ブランドにふさわしくないPRをする
これらを踏まえ、企業理念やポジショニングをベースに自分たちの向かう方向を定めていきます。そうして企業の立ち位置を確立することで、その企業に合ったブランディングの作り方や守り方を決めていくことができます。
ブランディングにおいて重要なのは「あらゆる対象に受け入れてもらう」という考え方は危険ということです。ターゲットを絞ることは、他を捨てる勇気を持つこと。それがブランドの「エッジ」を立たせ、熱狂的なファンを生みだすのです。
CI はブランドの「核(コア)」であり VI はその「体現」である
CI・VIとは
CIとは「コーポレート・アイデンティティ」の略で、企業の経営理念やビジョン、そして社会的な使命(ミッション)を体系化したものです。いわば、企業の「人格そのもの」を定義するものであり、社員や顧客、取引先の間で「私たちは何者か」という共通認識を形成することを目的としています。
一方で、VIとは「ビジュアル・アイデンティティ」の略で、CIで定めたブランドの価値やコンセプトを可視化する活動を指します。ロゴやカラー、フォントといったデザイン要素を統一し、パンフレットやWebサイト、パッケージなどの制作物を通じてブランドの世界観を伝えます。ビジュアルを統合することで、一貫性のある価値観を社会に訴求でき、深い共感や信頼を生み出すことに繋がります。

CIによってブランドの「揺るぎない根幹」を確立し、VIによってその魅力を「視覚的な美しさ」へと昇華させる。このふたつの役割を正しく理解し、連動させていくことが、時代に流されず長くブランドを守っていくための真髄となります。
マニュアル化とルール化の重要性
一度作り上げたブランドを崩さないために、ブランドガイドラインの作成は必要不可欠です。
ロゴやタグラインのあり方やフォントの選定、カラーマニュアルなどが社内のみならず社外の協力会社などに共有された際にも、ブランドが正しく扱われ価値を崩さないように守らなければなりません。
それには、ロゴをはじめとしたブランドの使用規定が記されたブランドガイドラインを活用します。これがあれば、マルチ展開などによってブランドが大きくなった場合でも、既存のブランディングをしっかりと踏襲することができます。
また、ブランディングにおいてブランドを守ることはもちろん大切ですが、「守りながら育てる」ことも意識しなければなりません。ブランドガイドラインをは、スタッフや協力会社にブランディングに沿ったデザイン意識を高める役割を担いますが、長くブランドを運用すればするほど、ガイドラインで定めた規定が古くなる一面もあります。
デザインやクリエイティブがガイドラインの枠から出ることを時流に求められれば、そのブランドのあり方を見直すことも必要となります。ブランドは生き物でもあります。守りながら育てることが大切です。
ブランドを長く紡いでいくために、ガイドラインは縛るための鎖ではなく、ブランドが次なる時代へと進むための「地図」であるべきなのです。

有名企業のロゴの変遷
守るデザインの分かりやすい例として、ロゴが挙げられます。ユーザーにとっては親しみがあり、企業にとっては象徴のひとつであるロゴですが、だからこそ時代の流れや変化に対応していくデザインである必要があります。実は、ユーザーが気付かないところで、時流に合わせたリファインを繰り返し存在し続けています。
では、実際にどういった変化をしているのか、それぞれを企業別で見ていきましょう。
Apple

【画像出典・参照】
公式サイト・アーカイブ
および Workship MAGAZINE より引用
Google

【画像出典・参照】
公式サイト・アーカイブ
および Workship MAGAZINE より引用
STARBUCKS COFFEE

【画像出典・参照】
公式サイト・アーカイブ
および Workship MAGAZINE より引用
McDonald’s

【画像出典・参照】
公式サイト・アーカイブ
および Workship MAGAZINE より引用
Nike

【画像出典・参照】
公式サイト・アーカイブ
および Workship MAGAZINE より引用
それぞれ会社創立の時代は異なりますが、今回紹介した企業は、長い間ユーザーに愛され続けるなかでロゴデザインは少しずつ変わり続けています。各ロゴに共通して言えることは、継続的なリブランディングを経て、現代ではシンプルで洗練されたロゴデザインになっているという点です。シンプルだから良いというわけではなく、それが今のデザインの潮流ということです。
ただそれは、単なる「流行」にとどまりません。例えばGoogleのロゴは、モバイル環境での「表示速度の高速化」と「小画面での視認性」を極限まで追求した結果、あの究極にシンプルな形に辿り着きました。デザインを研ぎ澄ますことは、「機能性」を最大化させることと同義なのです。
また、事例の中にある過去のロゴデザインを見ても「なんとなく古めかしい」と感じる人も多いはずです。ロゴデザインの印象によって「古い企業」というイメージを持たれてしまっては、ブランドの成長を阻害してしまいます。
「ロゴデザインは変えていく必要がある」と断言するわけではありませんが、ブランドを守るためのデザインのあり方として、重要な要素のひとつであるのは間違いありません。
ここではロゴデザインを例に出しましたが、ブランドのあらゆるクリエイティブにおいて、時流に沿ったものであるか? という意識を常に持つことがブランディングにおいて大切です。
※画像は各社のロゴ変遷を紹介するための引用です
まとめ
ブランディングを行う上で、デザインは重要な要素です。そして、長期的な視点でブランドを守るためにもデザインのチューニングは必要になります。人もファッションにおいて、時代に合った流行りの服を好んで着ます。ブランドも同じなのです。
本質(アイデンティティ)という軸は揺らさず、時代という空気に合わせて装い(デザイン)をしなやかに変えていく。ブランドが第一線で長く輝き続けるために、愛を持って守り、育てていきましょう。
ドットゼロが描く「ブランディング」の価値とクリエイティブ
代表取締役 高井雅己の思考と視座
ドットゼロへのお問い合わせはこちら
WRITTEN BY Masaki Takai
ドットゼロ 代表。BEAMSを経て同社を設立。資生堂や星野リゾート、ゴディバ等、数多くのグローバルブランドのブランディングやデザインを請け負うトータルデザインカンパニーを率いる。時代に流されない「人の琴線に触れるクリエイティブ」を追求。本質を突く思考と視座で、企業の良き未来を半歩先からエスコートする。 高井雅己の思考と視座